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孝高の武と文
 さて、孝高が、将に必要な武と文について、どのように考えていたのか、『黒田系譜』に残されている、息子長政への遺訓から、それを見てみましょう

 将が文を好むと言うのは、書物を多く読み、詩を作り、故実を覚え、文学を嗜むと言うことではない。
誠実な道を求め、いろいろなことについて吟味したり、工夫したりして、物事の道理を間違えず、善悪を区別し、賞罰をえこひいきなく正しく行い、憐れみ深い心を持つことを言うのだ。

 将が武を好むと言うのは、武芸に熱中し、いかつい態度などをとることをいうのではない
。軍の動かし方を知り、戦乱を終わらせる知略を働かせ、普段から油断をせずに兵士を鍛錬させ、何もないときでも合戦の緊張感を忘れないことを言う。
武芸ばかりをし、独りよがりの働きを好むのは匹夫の勇といい、それは所詮小者の武であって、将の武ではない。

これはまさに的を得ている考えであり、孝高が、いかに聡明な人物であったかが分かります。
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