「五常三徳」の続きとなってしまうのですが、戦国時代前期〜戦国時代中期の武士の道徳観念には、 「忠義」というものはありませんでした。
そんな戦国武士の観念が最も表れている言葉が、「去留の自由」という言葉です。 この言葉は、「主君の下に留まり、仕え続けるのも、主君の下を去るのも自由である」という意味で、 戦国時代の武士達にとって、「主君を見限る・裏切る」という行為は、ごく当然であったことがうかがえます。
更に、現代では「悪」の印象がある謀反ですら、戦国武士の間では正当性を持ったものであったのです。 例えば、北条氏繁という人物が用いた印判には、 「上の者が暗愚であれば、それを打ち倒すことで、より良き時代を作るべきである」 といった意味合いの言葉が用いられており、 それからも、「忠義」というものが、戦国時代では二の次であったことがうかがえます。