武士の館TOPへ
日本刀は使われていたのか?

さて、武士の武器として有名なものと言えば、やはり日本刀でしょう。
日本刀にはなにかスピリチュアルな力があるのか、憧れる人も多いはずです。

ですが日本刀が戦国時代、武器として使われていたかと言うことになると、正直非常に怪しいものがあります。
鈴木真哉氏の著書「刀と首取り」(平凡社)によると、当時の史料二百一点を調べ、
負傷原因を武器別に並べると、次のようになったそうです。

弓矢…604件 鉄砲…284件 槍…261件 投石…150件 日本刀…56件

これを見ると、日本刀での負傷件数が少ないのが一目瞭然です。
ちなみにこの統計は鉄砲普及前の史料が多いので、鉄砲普及後の史料を合わせると、
日本刀での負傷件数の割合はもっと少なくなるそうです。

日本刀での負傷件数がなぜ少ないかの理由は簡単です。
普通、戦はまず離れたところからの弓矢・投石・鉄砲での攻撃から始まり、
敵が接近してきた、または敵がひるんだら長槍で攻撃するというのが普通だからです。
(この方が味方の被害が少なくてすむ)

ゆえに、日本刀のような短射程な武器の出番などほとんどないのですが、もちろん活躍の場もありました。
一つは混戦になった場合。鎧の上から力任せに叩くという活躍(?)です。
もう一つは、相手の首を斬るときです。
日本刀は切れ味が鋭いので、首を確実に斬るなら日本刀が一番良いのです。

また、日本刀は芸術品として海外で人気で、貿易の際に取引されることが多かったようです。

つまり時代劇のように、日本刀でチャンバラをすることなど普通はありえなかったのです。

参考文献……戦国史新聞新版(日本文芸社)
inserted by FC2 system