さて加藤清正といえば、やはり猛将として知られている人物です。
そのためか清正には武に対する逸話、言うなれば戦に関する逸話が多いのです。
ここではその中から、いくつかの逸話を紹介しましょう。
朝鮮出兵での虎狩り
朝鮮出兵の際の出来事ですが、当時朝鮮半島には虎が住んでおり、日本軍に害をなしていました。
清正もはじめは気にしていませんですが、ある日とうとう、清正の小姓が虎の犠牲となったのです。
そのため清正は、虎狩りを発案しました。
また、全軍の士気を鼓舞する意味も込め、より多く獲物を狩った者に褒美を取らせることにしたのです。
清正自身も虎狩りに出、幾多の虎を狩ったといわれています。
腰に兵糧をつける
清正は戦のないときでも、腰兵糧をつけ、戦に備えていたのです。
ある日これを見た福島正則は「そんなことをしていては、いつも腰が重いであろうが」と言いました。
すると、清正はこう答えました。
「こうしておけば、家中のものも自分を見習い、戦への備えを怠らないはずだ」
上一人の心、下万人に通ず
朝鮮出兵から帰国する際、清正は戸田高政が守る城に立ち寄りました。
その城の周りは見通しもよく、敵が襲ってくる様子はありません。
しかし清正をはじめとして、清正の軍は臨戦態勢を崩さなかったのです。
驚く高政に対し、 清正はこう答えました。
「上一人の心は下万人に通じる。大将が油断したら家臣も油断し、そこに失敗が生じるものだ。
逆に、大将が厳しくしていれば、家臣らにも自然にそれが 伝わり、油断もなくなるものだ」
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